現場トラブルの真因を断つ──
中小企業における構造的マネジメントの再構築




■先週も月曜日から土曜日まで仕事でしたが、
日曜日は家族3人で目白台の椿山荘に桜を見に
行ってきました。


椿山荘は、明治時代の元勲・山縣有朋が築いた
場所で、彼の趣味である庭園づくりが反映され
ています。


敷地内には美しく整えられた樹木や噴水などが
あり、歩きながら景色を楽しめるようになって
います。


当日は、のんびりとした時間の中で、庭園や
満開の桜、そして広がる空を眺めながら、
心が洗われるような穏やかなひとときを過ごし
ました。





■最近のご相談事例より
現場では、日々さまざまなトラブルが発生して
います。


たとえば、思うように成果が出ない、
社員の退職が相次ぐ、
顧客からのクレームが続く


──このような問題が一切ない職場は、
ほとんどありません。


こうした現場で奮闘しているのが、
いわゆる「プレイングマネジャー」と呼ばれる
管理者たちです。


彼らは、自分自身も実務をこなしながら、
同時にチームのマネジメントも担っています。


しかし実際には、チーム運営やメンバー育成に
十分な時間が取れず、多くの時間をプレイヤー
業務に費やしているのが現状です。





■加えて、日々の突発対応、成果へのプレッシャー、
残業削減、コンプライアンス対応、価値観が多様
な部下との関わりなど、管理者には多方面からの
負担が重くのしかかっています。


そして、そのような管理者の姿を見た若手社員
からは、


「自分は管理職になりたくない」
「管理者って大変そう」


といった声もあがり、次世代の管理職を育てる
うえでの課題にもなっています。





■このような会社では、同じような問題が何度も
繰り返し発生し、そのたびに対処する


──まるで「モグラ叩き」をしているような
状態が続いているケースがよく見られます。


こうした状況の問題は、特定の社員さんや
マネジャーの意欲や能力が足りないことでは
ありません。


その真因は、そうした状況を生み出している
会社の組織の仕組みや運営のやり方にあります。


そこに目を向けることで、モグラ叩きのような
対処療法から抜け出し、根本的な解決への道が
見えてくるのです。





■私たち中小企業において、現場で発生する
さまざまな課題への対応策の一つとして有効
な手段が、ミドルマネジメント機能の強化と
発揮です。


「ミドルマネジメント」とは、
企業によって呼称に差はありますが、
一般的には課長、部長、営業所長、
チームリーダー等の中間管理職を指します。


この層は本来、経営方針と現場実務の橋渡しを
担う、極めて重要な役割です。


(筆者作成)





■本来であれば、こうしたミドル層が、部下の育成、
チーム運営、業務推進、現場との調整などを担う
べきですが、中小企業においてはさまざまな制約も
あり、日々の実務に忙殺され、十分に機能しづらい
状況にあるのが現実です。




(筆者作成)





■そのため、私たち中小企業においては、
TOPマネジメントがミドルマネジメントの
役割の一部を代行することが現実的な処方箋と
なります。


ただし、その際には、すべての役割を担おうと
するのではなく、上記、ミドルマネジメントの
役割表の★印をつけた箇所に主に取り組みます。


また、TOPマネジメントがミドルの役割を担う
際には、以下の点に留意することが求められます。


・一方的な指示命令に偏らないこと

・現場との認識のズレ(温度差)に配慮すること

・自ら業務を抱え込みすぎず、適切に委譲・分担すること



これらを踏まえたうえで、ミドルマネジメントの
機能を意識的に補完していくことで、モグラ叩き
のような対処療法から抜け出し、根本的な解決へ
の道が見えてくるのです。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆
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「強いチームは、強い中間層に支えられている。」
作者不詳
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人が育つ会社の共通点──組織開発と経営理念の交差点



■先週は、かかわっている会社の100億円企業に
向けた活動が4月から始まるので、役員との打ち
合わせなど、密度の濃い仕事が続きました。


また、土曜日は別の顧問先で、昨年の4月から
毎月実施している『キャリアプラン開発研修』
の最終回でした。


本欄では, 『キャリアプラン開発研修』の実施
を通して感じたこと、考えたことを共有します。





■首都圏で事業展開するこの会社は創業65年を
数え、従業員は900名を超える組織です。


2代目となる現社長は、バトンを受けたときの
自己資本比率25.3%を78.8%に引き上げた実績が
物語るように非常に有能な方です。





■筆者が関わり始めたのは、2020年3月。
コロナ禍が立ち上がった頃でした。


この時期は未曾有の事態で、多くの企業が先行き
の不安などから、亀が甲羅の中に首をすぼめ、
手足を入れたような状態になっていたのでは
ないかと思います。


そのような時期に、未来投資としての意思決定を
大胆におこなえる胆識をそなえた経営者は、
決して多くはありません。




■そのような経営者のオモイに共鳴し、
最初に取り組んだのが「行動指針の策定」です。
これは役員直下の幹部メンバーたちと共に進め
ました。


この会社の大きな強みは、責任感の強い社員が
多く在籍していることです。


その力をさらに引き出すために、より高い視座で
仕事に取り組むことを目的として行動指針作りに
取り組んでもらいました。





■この会社は、従来から経営理念を掲げて
いましたが。行動指針を作るにあたり、
会社は何のために存在するのか、あるいは、
自分たちは何のために仕事をしているのかを
徹底的に考えてもらいました。


その過程で参加している幹部から


『今まで真面目になって考えた事がない事実に
気付いた。』


『大切な経営理念を自分で理解し、腑に落ちない
と人には説明できない。』


などのコメントが寄せられ、徐々にその参画意識
が醸成されていきました。





■この会社が他社と少し違うところは、
行動指針を作って終わりにせず、実際に手帳や
カレンダーとして形にし、それを日々の朝礼など
で、繰り返し確認・実践し続けていることです。


この“しつこいくらいの継続”こそが、
60年以上成長を続ける原動力のひとつなのだと
感じています。





■今回の『キャリアプラン開発研修』は、
そのような組織開発の一環として、以下の2つを
目的として取り組みました。


1、働く意味を再考し、各人のキャリア形成を行い、働き甲斐を創出する。

2,ビジネススキルを習得し、自律・自走できる人材を育成する。


最終回となった土曜日の研修では、
社長はじめ3人の役員が同席。


20代中心の受講者7名が、
自分のキャリアプランを発表しました。


それに対して経営陣からは、

「君ならもっとできる」

「昇格はもっと早くを目指せ」

「年収はもっと上を目標に」

といった、熱く、愛情深いメッセージが送られ、



受講者たちは、高揚した面持ちで言葉を受け
取っていました。





■通常、仕事に対して「もっと」、「もっと」と
言われた社員さんは、ネガティブな意識を持ち
がちです。


しかし、今回の参加者たちは違いました。
なぜなら、彼らが描いたキャリアプランは、
自分の理想の人生をベースにしています。


その目的の一つが仕事であり、
そのための手段としての仕事であることを
認識できているから、


仕事の努力≒自分の幸せとして捉えています。


だからこそ、経営陣の「もっと」にも
前向きに応えられるのです。





■世の中の経営者の方と話していると
自社の社員さんの不甲斐なさや、期待外れの
勤務姿勢を嘆く声を聞くことがあります。



一方で、「有能な社員さんがいないのではなく、
社員さんの有能さを引き出していない会社が
あるだけ」という考えも浮かんできます。





■私は「人の可能性は無限大」だと信じています。


そして、「仕事は本来、やればやるほど人に
喜ばれるもの」だとも思っています。


先週の出来事を通して、改めて実感したのは、
「一人でも多くの人が“この世に生まれてきてよかった”と思えるようにしたい」
という想いです。


そして、そう感じられる人を増やせるような
会社を、1社でも多く世の中に広げていくことが、
私の使命なのだと再確認することができました。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆


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自ら育つものを育たせようとする心
それが育ての心である
世の中にこんな楽しい心があろうか

倉橋惣三(教育家 1882~1955年)
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BCCにて失礼します。

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損得を超えて ー 心の声に従う生き方



■先週は、大学生の息子が学び始めた
プログラミングスクールについての話しを聴き、
考えさせられました。


42Tokyoと呼ばれるその学校は、フランス発の
学費無料のプログラミング学校「42」の東京校
です。


学費無料のシクミは、トヨタやNTTドコモなど
多くのスポンサーによって支えられているからです。





■入学資格は、学歴不問、18歳以上で、週に
35時間程度、新宿のキャンパスに通えることです。


入学するには「Piscine(ピシン)」と
呼ばれる約1か月間の集中選考
プログラムをクリアする必要があり


現在、息子の周りでは18歳から40歳位の
人たちが選考に挑戦中とのことでした。


本欄をお読みの方で、自社の社員さんや
近しい人に、プログラミング技術の取得を
勧めたい方のご参考になれば幸いです。

https://42tokyo.jp/





■大学生の息子は、何を考えたのか、周りの流れ
から外れて、就職(就活)はしない選択をしまし
た。


それを決めたのは、昨年、3ヶ月ほど海外を一人
で旅をしている間だったようです。


就職せずに、学生の間に起業することが目下の
課題で、冒頭でご紹介したプログラミング
スクールに通っていることもその一環です。





■実のところ筆者も、上場企業の役員という
安泰な場所から外れて、今に至るのは、


10代の頃から、群れるのが好きではなく、
人に指示されるのはさらに好きではなく、
自分のホントウにやりたいことをやり続けて
きています。


そして今のところ、運が良かったおかげで、
幸せな境涯に恵まれています。





■それはどうして、そうなのか。
と考えてみますと、目先の損得に惑わされる
ことなく、自らの心の声に従った。
からなのかもしれません。



こう書くと、まるで迷いのない決断をしてきた
ように聞こえますが、実際はそうではなく、
選択に至るまでの心の中は、
あっちへ行き、こっちへ来たりと、
ブレブレに振れまくっています。


それでも、目先の損得の道を選ばなかったのは、
さまざまな巡り合わせもありますが、
30年以上続けている瞑想習慣の力が大きいと
かんじています。





■瞑想習慣は、毎朝20分以上。
出来る時は就寝前にも行っています。


これだけ続いているのは、確かな効果を実感
できているからにほかなりません。


振り返ると、始めた当初は、20分がとても長く
感じたこともありましたが、現実に起こって
いることの方が重く、シンドくて、瞑想が心の
支えとなり、大きな助けになったと感じています。


人によって、合う合わないがあると思いますが、
インターネットでも瞑想の効果や方法について
多くの情報が得られるので、一度試してみても
悪くないのではないでしょうか。



以上、息子の進路選択から、自身の選択に思いを
致したいきさつでした。最後までお読み頂き、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆


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損得を度外視してでも、正しいと思う道を進め。

西郷隆盛(軍人 1828~1877年)
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働くということ



■先週は名古屋で仕事があったので、お隣の
岐阜県にも足を運び、大学院時代の友人の
ご実家を訪ねてお線香を上げてきました。


また、土曜日は母校の大学院で開かれた
シンポジウムに参加し、さまざまな刺激を
受けました。


今回は、この二つの出来事から感じたことを
共有したいと思います。





■シンポジウムでは、多くの教授の講演を聴く
機会がありました。どの講義も非常に分かり
やすく、ためになるものばかりでしたが、


特に印象に残ったのは、年上の先生方から
伝わってくるエネルギーでした。


その場の雰囲気に触れながら、
「生涯現役でありたい」と改めて強く思いました。





■登壇された先生方の中には、78歳になる方が二人
いらっしゃいました。


彼らのお話の内容もさることながら、話し方、
立ち居振る舞い、姿勢などがとても若々しく


あと3年で、日本人男性の平均寿命81歳になる人
とは思えないほどでした。


その晴れやかな様子に触れ、年齢に関係なく活躍
し続けることの大切さを実感しました。





■ご存じの方も多いと思いますが、高齢になり、
健康上の問題で日常生活に制限がかかる期間が
生じます。


健康寿命(介護を必要とせずに自立して生活
できる期間)と平均寿命の差は、



・男性は8.7年
・女性は12.2年です。



つまり、この期間は介護や支援が必要になる
可能性があるということです。





■一方、働くことは健康に良い影響を及ぼすこと
が、多くの研究で証明されています。


日本老年学的評価研究(JAGES)が2010年から
65歳以上の人を対象に30万人規模で行った調査
では、仕事など社会参加が多い高齢者は、要介
護状態になるリスクが約50%低い。
という報告がなされています。


シンポジウムでお会いした現役の先生方は、
この調査結果を体現する生き証人と言える
でしょう。






■また、岐阜県にお線香を上げに行ったのは
大学院時代に知り合った友人・服部さんの
ご実家でした。


彼は先天性の障がいを抱えながらも、
自ら障がい者を支援する会社を設立し、
多くの人々の雇用創出に尽力してきた人物です。


大学卒業後、就職活動で20社から不採用通知を
受けたことをバネに、彼は障がい者のための会社
を立ち上げました。


彼のことは、小欄で何度かご紹介しています。



真に強くて優しい男(2015年)
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/old/entry-78.html


夏のボーナス(2016年)
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/old/entry-133.html


服部さん、ありがとう。(2017年)
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/old/entry-169.html





■その志は現在も引き継がれ、彼が設立した
会社は4社にまで広がり、すべてが活発に
運営されています。


さらに、そのうちの1社は、彼が生前に種を
まいていた事業が法人化されたものであると、
ご家族から伺いました。


彼は亡くなった後もなお、志を遂行し続けて
います。


その生き様に触れ、深く奮い立たされる思いが
しました。


彼の熱意と実践力は、彼がこの世を去った
今もなお、筆者の道しるべとなり、背中を
押し続けてくれています。


以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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「人を幸福にすることを目的としている限り
現状に満足することはあり得ない」

作者不詳
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「待遇競争」から「◯◯◯◯競争」へ



■先週、地方都市にある顧問先で、定例と
なっている入社5~10年程度の社員さんを
対象とした研修を行いました。


受講者の方と話していると、彼はこの春、休日を
使って、新幹線で東京に行き、有料のセミナーを
自己負担で受講する予定だと話してくれました。


この方のように意欲的で、将来有望な社員さんを
どのように採用し、育成していくべきかについて
考えてみたいと思います。





■現在の採用市場を見渡すと、多くの企業が初任
給の引き上げ、各種手当の見直し、年間休日の
増加、福利厚生の充実など、待遇改善に取り組ん
でいることはご存知の通りです。


待遇面の向上は継続的に取り組むべき課題
ですが、私たち中小企業においては、
待遇面での競争に固執するのではなく、



「この会社で働き続けたい!」
と思ってもらえるシクミ作り、環境を整える
ことが大切だと考えます。





■冒頭でご紹介した会社はじめ、かかわっている
会社のほとんどは、この方向で採用~育成に
取り組みを進めています。



具体的には、採用の際に価値観を重視し、
企業理念に共感できる人財を選ぶ
「理念共鳴型採用」を導入。



さらに、定期的な面談や対話を通じて人間関係の
課題を軽減し、社内研修を通じて社員の成長実感
を高める取り組みを行っています。



また、中長期的な施策として、キャリアパスの
明確化や成長を支援する制度の整備、さらには
社内表彰や承認文化の醸成にも力を入れ、継続
的に推進しています。





■このような会社で向かっている経営の方向性は



・「待遇競争」から「理念共鳴競争」へ
給与や休日だけではなく、企業の価値観や理念に
共鳴できる人財を採用する競争



・「数字で釣る採用」から「共感で選ぶ採用」へ
給与や待遇の条件だけではなく、価値観や成長
実感で惹きつける採用戦略



・「辞めない職場」ではなく「居たくなる職場」へ
定着率向上のために、単に離職を防ぐのではなく、
社員が自発的に働き続けたいと思える環境を作る



・「金でつなぎ止める」から「成長で引きつける」へ
給与や福利厚生だけではなく、成長機会や
やりがいを提供することで優秀な人財を確保



・「待遇の満足」から「仕事の充実」へ
外発的動機づけ(報酬)よりも、社員が成長実感
を得られる環境づくりを重視



・「企業が選ぶ採用」から「企業と選び合う採用」へ
応募者を一方的に選ぶのではなく、応募者にも
共感され、選ばれる企業になることを目指す採用
戦略





■このような考え方は、
1950年代にアメリカで盛んに研究され始め、
心理学者のエドワード・L・デシが1975年に
提唱した「内発的動機づけの」概念がその出発点
になっています。


「内発的動機づけの」概念は、現在、会社経営
はじめ数多くの組織体運営において活用されて
おり、その考え方をまとめたものが下図です。


■この図を見ますと明らかなように、私たち
中小企業が特に注力すべきなのは「内発的動機」
の活性化です。



報酬や待遇だけではなく、社員一人ひとりが
成長や意義を感じられる環境づくりこそが、
持続可能な成功への鍵となると考える次第です。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆

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「人が本当に満足を感じるのは、全力を尽くして
働き、それが他者のためになるときだ。」

ブッカー・T・ワシントン(教育者 1856~1915年)
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