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真に強くて優しい男

岐阜県大垣市にウェルテクノスという会社があります。事業内容は障がい者や難病者でも普通に働ける社会の実現を目指した就労支援事業と医療・福祉などの健康や疾病に関するシステム開発・Webシステム制作事業です。

従業員は、身体障がい者4名、知的障がい者1名、精神障がい者3名、健常者1名の9名の方たちが働いています。経営者は坂本ゼミ修士2年の服部義典さんです。

服部さんは先天性の身体障がい者手帳1種1級を持っている重度障がい者です。そしてその疾患は年々進行しています。服部さんがこの会社を作ったのは、大学時代、就職活動した際に障がいを持っているという理由で、ことごとく入社を拒絶された経験からです。

会社を立ち上げ5年間ご自身の給与はゼロで、土日も休まずアルバイトで生活費を稼ぎ愚直に仕事に取り組んできました。そんな努力が実を結び、昨年度は賞与を年間4.5ヶ月支給する立派な会社を作っています。

中小企業白書によれば中小企業の70%は赤字です。また私の手元にある税理士法人が集計した資料によると、この法人と契約している会社約500社のうち賞与を支給している会社はその70%です。その支給額平均は241千円(平成26年冬季)となっています。

服部さんは、毎週岐阜から大学院のある東京へ通っています。金曜・土曜と私と同じ講義を受講しています。通学されるだけでも身体が大変だと思いますが、先日服部さんと話していたら東京での定宿はカプセルホテルだというのです。私はこの話を聞いた時、障がいを持つ社員さんたちを厚遇し、ご自身は極めて質素な生活をされているという事実を知って、頭を殴られたような衝撃を受けました。

服部さんに聞きました「なぜ、そこまで出来るんですか」と、服部さんは「僕が頑張るのは、まだ生きているからかも知れません。同じ心臓病でも早くに亡くなる人もいて、患者会の役員をやってますから、お葬式に出て、沢山の方々を、子供たちも含めて天国にお見送りさせて頂きました。生きている以上、僕は幸せだし、恵まれていますから、まだまだ力になれることを、世の中を良くすることを頑張っているだけなんです」と・・・。

言葉がありません。

春木清隆


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