情報漏洩問題
ベネッセの情報漏洩問題について、日経新聞では以下のように伝えている。<以下引用>
ベネッセホールディングスは通信教育講座「進研ゼミ」など受講会員の情報が漏洩した問題で、200億円の補償金を準備することを決めた。
信頼回復への一歩と位置づける補償だが、実行へのハードルは高い。通信講座費を1カ月分もらわない場合、1人当たり数千円の減収になる。補償額の200億円は、2015年3月期見通しの連結純利益213億円にほぼ相当する。同社は過去の事例も参考に、様々な案の検討を急いでいる。
<中略>
顧客情報にアクセスする人が不正行為をしないよう専門機関が監視する仕組みを導入。原田社長は「世界で最も厳しいセキュリティーを築く」という。3月末時点で2万人を超える社員への法令順守教育も進める。「システムを整えても最後は人の倫理や責任感が重要」(原田社長)とみているからだ。<以上引用>
私は、この情報漏洩問題に対して、短期的・表層的な対処を的確かつ迅速に行うことは当然だが、長期視点でみて、構造的課題に対する根本的対処を誤ると企業の存続にかかわる重大な事案であると思料する。
世間では、ビッグデータの価値化やビジネス化に関する情報が喧しいが、データ管理において100%安全なしくみは存在しない。原田社長の言うとおり、要は人の問題。
今回、情報を持ち出したのは業務委託先の派遣社員。この人は、坂本先生が説かれている「会社経営とは『5人に対する使命と責任』を果たすための活動」の中で2番目に大切な外注先・下請け企業の人。
一般的に外注先・下請けの仕事は、単純作業、単価が安い作業などといった報われない仕事がほとんど。またその仕事量は、発注元の業績変動に依存している。
発注元は、自社の業績や社員給与に焦点をあて、外注先・下請け企業とその従業員を消耗品と同様の枠組みで考え、扱っているのが現状。つまり、本来大切に扱わなければならない存在を粗末に扱っているのである。
本事案への対処は、経営者がこの過ちに気づくことが大前提にある。人本経営を基に体制を再構築することである。
外資系企業で、輝かしい実績を残されてきた原田社長が、Benesse=bene(よく)+esse(生きる)と社名にオモイを込めた日本の創業家と共に、今、この場に立たれていることに宿縁を感じると共に、よい会社を作られることを強く祈る。
今日一日、みなさまにとって、素晴らしい日になりますように・・・。
春木清隆