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「一人ではない」

食べ物の味がわからなくなっていた。立っていられない位の目まいが一日に何度もあった。小便がローズヒップティーの様な色になっていた。なぜ自分だけがこんな思いをしなければならないのか、と思っていた。

40歳直前の私は、倒産した会社で、会社更生に向けて走り回っていた。その頃、車通勤をしていた。ある朝、踏切の手前で停車した時、開け放したサンルーフから、ふと空を見上げた。青い空と白い雲…。その時、衝撃が全身を突き抜けた。どどーんと全身があたたかく包まれる感覚。そして「頑張れよ」という声なきメッセージ。涙が溢れて止まらない。全身が至福感に満たされる。その時実感した。「自分一人ではない」と。そして決意した。どんな事があっても人の役に立つ存在になろうと。

私が働いたその会社は、その後、見事再上場を果した。愛する後輩たちが、今、そこで働いている。

今日一日、皆さまにとりまして、素晴らしい一日になりますように。

春木清隆


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