ほぼ全員17時退社の高収益企業
平成17年の創業以来、10年連続増収増益を続ける企業を訪問してきました。銀座の昭和通り沿いにある「ランクアップ」という社名の、従業員約40名の会社です。「マナラ化粧品」というアンチエイジング化粧品の開発と販売を行っていて年商60億円を超える高収益企業です。
当社の特徴は、社員の約半数が子育て中のママであるということ。その人たちが安心して働ける制度の一例を紹介します。
1.6時間の時短勤務可能
子供が小学校入学前まで
2.子供の看護休暇として5日間の有給を支給
子供が小学校入学まで。2人以上は10日。うち5日は無給
3.子供の看護のため、病児シッター導入
利用料は会社負担。本人は利用料を一日につき300円のみ負担
4.年間休日 最大146日
有給休暇最大20日間、リフレッシュ休暇5日間含む
5.1日の勤務時間は7.5時間
「17時で帰っていいよ」制度
6.時間休がとれる
2時間、3時間、4時間、5時間、6時間休
7.毎年リフレッシュ休暇として5日間が支給
リフレッシュ休暇と有給休暇の組み合わせで、最大11日間連続で休暇可能
8.ボディトレーニング
月2回、講師を招いて就業時間内にヨガ教室を開催
9.課外活動(バレーボール部、ジョギング部)
身体を動かしながら社員同士の団結力を高めている
10.スポーツクラブ助成金
会社が社員のスポーツクラブ利用料を助成(月1万円まで)
11.無農薬野菜支給
社員の健康のため、旬の無農薬野菜や果物、お米を支給
(以上、同社HPより抜粋)
現在、坂本研究室で福利厚生の研究を全体テーマとして取り上げていますが、子育て中のママさんが飛び上がって喜ぶ諸制度です。実際、社内で働く方々からは、明るく、イキイキとした感じが伝わってきました。
当社がこのように社員が喜んで働き、順調に成長発展してきた要因は多々ありますが、とりわけ明記すべき要因は以下の3点です。
第1点は、岩崎裕美子社長の思いです。岩崎社長の前職は、広告代理店の取締役営業本部長です。この代理店は、会社設立から7年間で売上高は20億円を超えました。しかし、業績を伸ばすために深夜残業に明け暮れ、終電帰りが日常化した社員たちが次々に辞めていきます。社員が辞めない会社にしたい、せめて22時には帰れるようにしたい、仕事のやり方を変えたい……。いよいよ自らも会社を出ることを決断したのは36歳のとき。「この会社が変わらないのなら自分で早く帰れる会社を作ろう」と化粧品通販の会社を起業します。
第2点は、圧倒的な差別化です。差別化により、望ましい労務環境や福利厚生を実施する源泉となる、安定した粗利益を出し続けています。当社における差別化は、1)商品2)市場への伝え方3)顧客サービスが群を抜いています。
第3点は、徹底した業務のアウトソーシングです。まず、全部署で「業務の棚卸しと選別」が行われます。社員は自分の業務を「不要な業務」「自分より適した人に任せる業務」「取引先に任せる業務」「自分がすべき業務」に振り分け、ルーティンワークや誰にでも任せられる仕事と判断した仕事は、外部やアルバイトにアウトソーシングしています。単純業務のアウトソーシングより、社員の知的生産性が上がり、短時間勤務で高収益を上げる体質を作り上げています。
当社を視察し、改めて女性の偉大さを認識し、これからの時代の企業経営のありかたを見せて頂きました。ありがとうございました。
今日一日、皆さまにとりまして、素晴らしい一日になりますように・・・。
春木清隆