<値決めは経営>。その前に、テマヒマをかける
<値決めは経営>。その前に、テマヒマをかける
■先週(2月13日)の日経新聞に
『企業物価指数、1月4.2%上昇』の見出しで、
物価上昇について報じられていました。
過去、「モノの価値が下がり、お金の価値が上がる」
デフレの時代を経験してきましたが、
現在、「モノの価値が上がり、お金の価値が下がる」
インフレに移行しています。
デフレからインフレへ、転換が始まって数年が
経ちますが、日本経済はこの30年間、長い
デフレの時代を歩んできました。
■多くの経営者が、30代で経営者になり、
現在60代を迎えています。。
デフレ下の経営を成功体験として持っており、
インフレ時代への適応に苦戦していると
感じています。
本欄では、インフレ下における中小企業経営の
対応策を共有していきます。
■ご存知の方も多いと思いますが、
長い歴史を振り返ると、貨幣経済の本質は
インフレ傾向にあります。
下表は、わが国の1901年から120年間の
企業物価指数を示したものです。
これを見ますと、物価は0.469から859.4と
1,832倍になっており、インフレ傾向です。
このことからも、基本的にインフレが通常であり、
この30年間のデフレは、むしろ例外的な現象
だったと言えるのです。

■本欄では2021年から、インフレ下における
中小企業経営の対策を述べてきました。
『未来を考える2』2021年12月
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/everyday/entry-284.html
『インフレを考える』2022年5月
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/everyday/entry-305.html
それらの骨子は
1,価格戦略
高付加価値戦略の採用
(値上げ感の少ない)価格転嫁の工夫
デジタルマーケティング強化
2,仕入戦略
単一仕入れ先依存を避け、複数のサプライヤーを確保
長期契約で価格安定化、または短期契約で変動リスク分散
共同購入(他企業と連携)でコスト削減
3,人財・組織戦略
人件費の最適化と生産性向上
優秀な人財の確保・育成についてでした。
■今回は、上記1,価格戦略について、
実際の企業事例を取り上げます。
取り上げる企業はスターバックス
(以下、スタバ)です。
下のグラフは、スタバの主力商品である
トール・ラテの2002年から2024年までの
価格推移です。
これを見ますと、トール・ラテの価格は、
2002年の336円から2024年の495円に
1.47倍の値上げが行われています。
皆さまの会社の主力商品の価格は、
あるいは平均単価は、2002年と比べて
どれくらい変化しているでしょうか?
■この値上げの仕方を観てみますと
336円から418円までの17年間は
1%~2%の僅かな値上げにとどめ、
お客さまの反応を確認している様子が
わかります。
興味深い点は、400円という心理的に壁と
なる価格を超える前に、388円・399円と
徐々にお値打ち感の強い価格設定で、慎重に
その反応を確認しながら値上げしている点です。
さらに、400円を超える際には、一気に410円を
付け、そこから同じ年に418円と再度の値上げを
実施していることです。

■くわえて、私たちが学ぶべき大きなポイントは、
2022年、インフレ傾向の序章段階で、
418円から455円と一気に108.9%の値上げに
踏み切ったことです。
筆者自身、上場企業でマーケティング責任者を
務めた経験から、スタバではこの大幅な値上げに
先立ち、テストマーケティングを繰り返し、
『よしっ、これならイケる!』と
確信を持って実施したのだろうと推測します。
それでも、これほど大胆な決断を下すには、
並々ならぬ覚悟と勇気をもって挑んだことも
想像できます。
■ここまで読んでこられた方ならお気づきかと
思いますが、経営として捉えると、この値上げ
自体は氷山の一角です。
見えない部分では、スタバが創業以来、大切に
している自社ブランドの徹底的な磨き上げ、
すなわち、品質・サービス・清潔さ・雰囲気に
対して、おびただしい労力(考え続ける・テマヒマ)
をかけ続けてきたからこそ、一連の値上げが可能に
なったのです。
■私たち中小企業には、大企業にはない強みが
あります。
それは、働く人と、お客さまとの距離が近いこと。
この利点を活かせば、ブランドづくりや価格設定
にも、より迅速に、そして大胆に挑戦できるはず
です。
大切なことは、まずは発意すること。
そして学び、試し、改善を重ねること。
一社でも多くの中小企業が、未来へと成長して
いくことを願っています。
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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事を遂げる者は愚直でなければならぬ。
才走ってはうまくいかない
勝海舟(日本の武士 1823~1899年)
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