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ゆでガエルになっていないか? (経営戦略を考える)

ゆでガエルになっていないか?
(経営戦略を考える)


■先週は出張で、仙台に3泊4日しました。
仙台駅は毎月、複数回利用しますが、5月に
利用した際、駅構内にある店舗前通行量の多い
3階の書店が閉店していました。





■気になって、全国の書店数の推移を調べて
みると、以下のように2003年の21,000店から
2022年の11,500店と、約半減しています。


(出所:経産省HP)





■この要因は、種々ありますが、最大の因子は
アマゾンに代表されるネット通販の進化、台頭に
よるものです。


先にご紹介した書店も、何度か利用していますが、
その品揃えや接遇に明らかな落ち度はありません
でした。





■これは、現場の戦闘能力や経営戦術の格差
ではなく、明らかに、経営戦略の失敗によるもの
です。


すなわち、新たな競争相手の出現や、購買行動の
変化といった、環境変化に、経営戦略が対応でき
なかった事例で、今、私たちの周りでは、
あらゆる業種で同じようなことが起きています。


たとえば、先週の日経新聞で、
『セブン1000店で処方薬受け取り』の見出しの
記事が掲載されていましたが、これから既存業界
へは、津波のような暴力的なエネルギーと速さで
侵食が進むはずです。





■筆者が新卒で入社した会社も、まさにコンビニ
からの侵食で、市場を奪われた会社でした。


その兆候を感じてから約10年、経営戦略の転換
を訴え続けましたが、力不足で、会社更生法に
至りました。


しかし、旧経営陣が退陣したあと、かねてから
提案していた戦略転換をすすめました。


(筆者作成)


具体的には、強い競争相手のいる持ち帰り市場
から、強い競争相手の少ない飲食と、
非日常(高価格)の持ち帰りに経営資源を集中
させたのです。


結果、働いている人や店の立地は変わらずに
株式再上場に至ります。





■上記の事例は、環境の変化に対する人間や
組織の鈍感さを表現した


<ゆでがえる現象>


とも例えられます。
この表現の由来は、ご存じの方も多いと思い
ますが、水を入った鍋にカエル入れ、ゆっくりと
温めると、カエルは温度変化に気づかずに
茹でられて死んでしまうというストーリーです。



経営においては、市場環境の変化に気づかず、
競争力を失っていく状況です。





■実際の事例として


・液晶テレビ市場の変化に対応が遅れ、
経営危機に陥り、海外企業に買収されたシャープ


・不適切会計処理や原子力事業の失敗により、
倒産の危機に直面し、半ば解体した東芝など
数多くの事例が存在します。




■では、会社が<ゆでがえる現象>に陥らずに、
適切な経営戦略を採るには、どうしたらよいので
しょうか?


申し訳有りませんが、「これ!」という最適解は
思い浮かびません。


しいて上げるとすると、トップが


<何としてでもそうしよう>


という、強い意思を持ち続けること
ではないでしょうか。



以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。


日々是新 春木清隆


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戦略とは、何をしないかを決めることである
マイケル・ポーター(経営学者 1947年~)
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