中規模企業への脱皮
中規模企業への脱皮
■先週、上場企業の社長と会食をしました。
会社は以前から知っていましたが、お会いする
のは、初めてです。
お会いした社長の会社業績は、ざっくりと把握
していましたが、会食後、改めてその業績を
確認しますと、その手堅さを痛感しました。
下表は、お会いした会社(A社)と、
同じビジネスモデルで、交わってはいませんが、
同じような商圏で、展開する上場企業B社の
業績比較です。
A社の営業利益率は、5%~15%の間で推移し
自己資本比率は、70%台後半から80%台後半へ
約10ポイント引き上げています。
一方、B社は5%前後だった営業利益率が
2016年から赤字転落し、その後も低迷を続けて
います。
それに伴い、自己資本比率は、以前60%前後
だったものが、一桁と凋落傾向を示しています。
今回、A社の社長にお会いして
『組織は99%トップで決まる』
という言葉を再認識した次第です。
(筆者作成)
■企業成長の伴走をしていますと、多くの会社が、
年商10億円を前に、足踏み状態になることが
あります。
これは、企業規模のステージがランクアップ
される際に、超えなければならない壁のよう
なもの(課題)があるからです。
実際、政府統計資料を見ましても、多くの業種で、
小規模企業の占める割合は80%台であることが
わかります。(下表 平成28年経済センサス)
■先に上げました年商10億円を超える課題と
して、市場規模や自社商品、マーケティングなど
種々ありますが、本欄では、比較的多く見られる
組織論の観点から情報共有します。
年商10億円の前で足踏み状態になる会社に
起きている共通現象として
・現場からの報告が迅速にあがらない
・報告があがっても正確性に乏しく、虚偽も見受けられる
・会社で決めたことの情報共有が不徹底
・課題対処が表層的でモグラ叩き状態
・よって、同じような問題が絶えない
・社員さんの離職率が高い(5%以上)
・業務の進め方のバラツキが激しい
・現場との深い対話がなされていない
・役員が管理職を飛び越し、直接、一般職に報告を求める
・役員が管理職の仕事を手放せない等など
■このような現象がどうして起きるかといいます
と、創業から年商10億円の手前までの成功体験
があるからです。
社長はじめ役員が優秀だったから、創業から
年商10億円の手前まで会社を成長させることが
できました。
そこで、社員さんたちに一定の教育などの働き
かけをすると、創業メンバーである自分たちと
同じ価値観や考え方を持ち、仕事の仕方ができる
と、錯覚してしまうのです。
社長はじめ、もともと優秀な創業メンバーが、
必死になって取り組んできた今までと、ある程度
の規模になって入ってきた、雇われ人(社員さん)
が、同じようであること自体が不自然です。
■したがって、社長はじめ役員は、企業規模の
ステージをランクアップさせるために、
自分たちのモノの考え方や、やり方を
ギアチェンジするぞ!
という確かな自覚と決意が必要になります。
しかし、理屈ではわかっていても、今までの
慣習や、手放すことの寂しさ、あるいは、
自分たちが、新たに何をすればよいのかを
分からずに、今までと同じ言動を繰り返すのです。
■このような状態に対する有効な手段として
1, 役割分担の明確化
社長・役員・管理者の役割分担を明確化する
特に役員は、業務において、減らすこと、
止めることを決める
2, 情報共有の仕組み化
日・週・月で共有すべき情報を書き出し、整理
して共有方法を決め、それがなされているか確認
し続ける
3, 会議体の健全運営
以前の小欄でもご紹介しましたが、今までは
阿吽(あうん)の呼吸で意思疎通が図れましたが、
人員増による組織拡大にともない、個人戦から
組織戦への転換が不可欠です。そのエンジンと
なるのが健全な会議体運営です
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/everyday/entry-407.html
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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脱皮しない蛇は死ぬ。
人間も同じ。古い考えの皮をいつまでも被って
いれば、やがて内側から腐っていき、
成長する事ができないどころか、死んでしまう。
常に新しく生きていくために、私たちは考えを
新陳代謝させていかなくてはならない。
ニーチェ(ドイツの思想家 1844~1900年)
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