悠々として急げ。
悠々として急げ。
■先週も月曜日~土曜日が仕事で、日曜日が
諸準備や読書など、充電の日となりました。
読書の領域は実務を中心としますが、東洋思想の
古典から学ぶ機会が多くあります。
東洋思想に興味を持ち始めたのは、それまで
学んできた欧米で研究された経営学を実務で
用いて、理屈どおりにいかないことが多く
なったからです。
■経営について、小欄や拙著などで、
<経営=心+科学>
の考え方を申し上げていますが
心=東洋思想
科学=西洋思想
とも捉えることができます。
西洋思想と東洋思想を経営の観点で整理した
ものが下表です。
(筆者作成)
■西洋思想、東洋思想ともに
一長一短があり、単純に優劣はつけられませんが
世界の長寿企業の調査結果から、世界の創業
100年以上企業のうち、日本の企業は50%。
創業200年以上の企業では65%と、世界1位
であることから、日本の長寿企業の考え方や
やり方から、私たちが学ぶところが多々あります。
(出所)
https://consult.nikkeibp.co.jp/shunenjigyo-labo/survey_data/I1-06/
■さきほどの表にもあるように、東洋思想は、
バランス、調和、継続的な成長を重視する
傾向があります。
長寿企業は、これら東洋思想を経営実務に
取り入れることで会社の永続的発展を実現
しています。
以下、その中から3点を共有します。
1,長期的な視点
長寿企業は短期的な利益追求にとどまらず、
長期的なビジョンを持ち、将来、持続可能な
成長を重視しています。
1899年創業のサントリーは、ビール事業の
赤字を45年間辛抱し続け、事業の柱として
育て上げています。
45年間の赤字部門を持ち続けることは、
オーナー社長でも難しいことで、相当の胆力が
必要です。
2,人間関係の重視
長寿企業は、家族経営や従業員の福祉を
重視しています。
組織全体の調和やチームワークを大切にし、
従業員が安心して働ける環境を整えることで、
組織の持続的な成長を意図しています。
1669年創業で、名古屋に本拠地を構える
岡谷鋼機は、定年後もOB・OGが集う会を
毎年開催。
OB・OGで亡くなられた方々や会社にご縁の
あった方を弔う「物故者法要」を50回忌まで
行っています。
3,伝統と革新の融合(不易流行)
東洋思想では、伝統と革新のバランスを取る
ことが重視されており、その実践が企業の
永続的発展につながっています。
1500年頃の創業で、500年以上続いている
和菓子の虎屋の本領は、本当に美味しいものを
誠実につくること。
一生懸命に和菓子を極めることという伝統を
守りつつ、「TORAYA CAFE(トラヤカフェ)」
という斬新な店舗を海外などで出店するなど
たゆまぬ革新をし続けています。
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も、皆さまにとって、
最幸の一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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悠々として急げ。
開高健(作家 1930~1989年)
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