苦難は良薬
苦難は良薬
■先週の土曜日(22日)、関係している会社の
役員・幹部からのヒアリング最終回でした。
ヒアリングのテーマは
『創業100年にむけて、今何をすべきか?』です。
社歴70年を超えるこの会社、対象者は22名。
ヒアリングの中で、多くの方から出てきた言葉が
社長への共感と尊敬、そして
『社長の喜ぶ顔を見たいからやりたい』
という、
進んで仕事をしようとする明確な意志でした。
ヒアリングをつうじて、社長を中心に、
その人柄を敬い、慕う人たちが集まり
太陽系のようにグルグルと円転運動を
しているようすが想起されました。
■はたらく人のモチベーションと業績の相関関係
は、多くの学術論文で説かれています。
下表は、その研究データの一部です。
下表左、売上高経常利益率が10%程度以上の
会社の正規社員のモチベーションレベルは、
高いとやや高いを合わせて83.6ポイントに対し、
0.1%~2.9%の会社のそれは53.0ポイントと
なっています。
下表右、売上高が増加傾向の正規社員の
モチベーションレベル、やや低いと低いを
合わせて2.5ポイントに対し、減少傾向の会社の
それは57.2ポイントとなっています。
■昨今、部下のモチベーションを気にするあまり、
あいまいで、当たり障りのない、指示命令を出す
上司の姿を見聞きすることが少なくありません。
冒頭でご紹介した社長は、筆者から見て、
役員・幹部にたいしては、常に高いレベルを
厳然と期待し、要求し続けています。
そのような社長の姿勢は、社長就任時の自己資本
比率25.3%が、30年後の現在、78.8%と極めて
安全性の高い会社をつくり上げています。
■ドラッカーはその著書「マネジメント」で
『重要なのはカリスマ性ではない。
リーダーシップとは人を惹きつけることではない。
惹きつけるだけでは扇動者にすぎない。
友達をつくり、影響を与えることでもない。
それでは人気取りにすぎない。
リーダーシップとは、人のビジョンを高め、
成果の基準を高め、人格を高めることである』。
■筆者は、人がこの世に生まれてきた目的は、
人間性を成長させるためと認識しています。
その意味で、苦労の多い経営者という仕事は、
人間性が磨かれやすい職業のひとつ。
と思っています。
先の社長は、30代で経営のバトンを引き継ぎ、
<何としてでもこの会社を存続~発展させる>
と腹をくくり、泥水をすするような思いや、
焼け火箸をつかんで離せないような経験を
積み重ねたことで磨かれ、現在では、まわりから
尊敬され、慕われるまでに人間力を高められたと
思料します。
今、試練の渦中にある方々、あるいは、これから
を担う人たちにエールをおくります。
「大丈夫。真摯に、諦めずに、コツコツと続ける
ことで道は必ず拓けます」
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も皆さまにとって、素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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私が知りうる最も美しい人とは、
もがき、苦しみ、敗北を知り、苦労が水の泡になっても、
なお自分の力で道を切り拓いた人だ。
彼らは繊細で、感謝を忘れない。
その人生は、理解や親切心、愛情深さで溢れている。
美しい人の存在は、偶然ではない。
エリザベス・キューブラー・ロス(精神科医 1926~2004年)
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