『すいません、ほぼ日の経営。』
『すいません、ほぼ日の経営。』
■先週、仲間たち3人と北海道帯広市を旅して
きました。
手つかずの大自然を残す然別湖(しかりべつこ)
精妙な空気があふれる帯廣神社
開拓の歴史を感じるばんえい競馬はじめ、
北の屋台村、モール温泉、サウナ、六花亭本店
などを楽しみました。
■6月6日、以下のニュースがリリースされました。
糸井重里さん(74歳)が代表を務めるほぼ日(東京都千代田区)は6月6日、全社員約190人に株式を無償譲渡すると発表した。1人100株ずつ配布する。譲渡する株式の時価総額はおよそ6600万円(5日時点)。
役員、正社員に加え、アルバイト、派遣社員、契約社員などが対象。株式は8月に配布する。同社が運営するWebメディア「ほぼ日刊イトイ新聞」が25周年を迎えたことを受けた施策という。
ちなみに、ほぼ日とは、株式会社ほぼ日の運営する
WEBサイトで、会社は2017年に上場しています。
■糸井氏は、筆者が20代の頃、矢沢永吉の
自伝本『成りあがり』を読み、感じ入り、
その編集をされていたのが彼だったので、
その頃からウォッチしている一人です。
コロナ禍最中の2021年11月、東京神田で
行われた同社の株主総会には、激励の意を
込めて参加してきました。
今回発表された、株式の無償譲渡のニュースに
接し、ふだん口ではカッコいいことを言っている
が、言動の伴わない人が散見される、よのなかで
とても嬉しく感じました。
また、自分の目に狂いがなかったことにも
少し誇らしい気持ちになりました。
■本欄の題名『すいません、ほぼ日の経営。』は
2018年に対談形式で出版された本の題名です。
以下、同書の中から共感し、気になった箇所を
共有します。
いまは「誰よりも早く手をつけて成功しなさい」と言う声の大きい時代です。でもそんなに急がされたら、うまくいくのも考え不足や準備不足でダメになって、みんなが倒れてしまいます。もう少しお落ち着いてもいいんじゃないでしょうか。
さいごには一緒にやっていてよかったね、と言い合いたいですよね。
僕らは、農業のように、とにかく毎日続けていくことを大事にしています。
アルバイトを募集した時、二回目の「生活の楽しみ展」では、50人を募集したら350人も来てくれました<中略>アルバイトに応募してくださったのは、僕らが大切にしていることをよくわかってくれている人ばかりで、社員と区別がつかない位、僕らと一体化していました。
「働き方改革」といっても、額に青筋を立てて、息を止めて集中するような働き方がいいと思ったら大間違いです。
けれど、いまの時代、給料というエサだけで人は本気で動かないのではないでしょうか。お金で人材が釣れる時代は終わったような気がしています。
「糸井さんにほめられた」ことを喜ぶような会社にはしたくありません。これはものすごく重要なことで、「糸井さんにほめられるのもうれしいな」くらいにしたいですね。
うちには伝家の宝刀のような言葉が二つあって、「誠実」と「貢献」です。
「誠実」については、「誠実は、姿勢である。弱くても、貧しくても、不勉強でも、誠実であることができる」ということ。
「貢献」については、「貢献は、よろこびである。貢献することで、人をよろこばせることができる。そして、じぶんがよろこぶことができる。貢献することにおいて、人は新しい機会を得る」です。
そして、「誠実」と「貢献」では、「誠実」の方が重要です。
効率を優先したり、じぶんの成果を期待しすぎたりすると、「信頼」は失われてしまいます。だから長期的に見れば、テクニックで「信頼」は得られないし、たとえ得られたとしても、そういう「信頼」はあてにならない。「信頼」を得るには、農業のような地道な努力が必要です。手に入るまでにとても時間がかかる。
僕たちがほぼ日でやってきたことは、田んぼを耕すようなことばかりです。最近は田んぼを耕すようなことを、みんなが評価しなさすぎると思っています。丁寧に人の手の入った田んぼは、何を植えてもきちんと育ちます。そして、日々、手をかけて田んぼを耕し続けると、さいごに人が育つんです。
社長に求められるのは、社長本人が元気で楽しそうで、社員がメシを食えるように給料を支払うことです。<中略>社員一人ひとりが、誰かになにかをしてあげるところまでが、じぶんの幸せに含まれます。それがメシを食うことです。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も皆さまにとって、素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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「ルールはできるだけ少ないほうがいい」
糸井重里(経営者 1948年~ )
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