事業継承の節目
事業継承の節目
■先週、江東区でスポットの仕事があり、
帰りに富岡八幡宮を参拝してきました。
富岡八幡宮は、今からおよそ400年前の江戸
時代に建立され、周辺は門前町として栄え、
現在の門前仲町につながります。
当時、近くに住んでいた伊能忠敬の像や
重さ4.5トンでダイヤモンドをあしらった
日本一の大神輿が展示されていました。
■同じく先週、関係している会社、2社の
年に1度の社員総会に参加してきました。
創業から30年以上、『人を大切にする経営』を
実践する両社は、共に堅調に成長し続けています。
ここでは、その1社について情報共有します。
■10年以上前から顧問をしているこの会社の
現会長である創業者(74歳)は、新潟県から
学生服を着て上京し、初任給が出るまで、その
服装で通勤し、食事をインスタントラーメンで
しのぎながら、都会と社会と実業の厳しさを、
身をもって学んでこられた方です。
創業以来35年。
調剤薬局を33拠点で、ドミナント展開する
この会社の社員数は208名。内、国家資格
を有する薬剤師132名を擁する会社です。
■2020年5月、逆境の中、現会長からバトン
を受けたご子息の現社長は39歳。
今回の社長のお話は、3年前の就任時と、ほぼ
同じ内容です。
同じ内容ですが、壇上から発する社長の言葉は、
就任時に比べ、明らかに力強さが増しているよう
に感じられました。
それは、常日頃から言動一致を心がけ、日々、
業務に真正面から取り組んでいる証左であると
思料します。
最後列に座っていた筆者は、社員さんたちが
姿勢を正して、社長の話を全身で受け止めよう
としている様子を感じ取っていました。
■社長の話の内容は
1.経営理念について
2.経営ビジョンについて
3.大切なものについて
(中略)
15.出店について
16.採用について
17.私について
ですが、本欄では
<17.私について>をご紹介します。
17.私について
これまでにおおよそ私の価値観や想いを共有させていただきました。
私の言うことが全く理解できない、納得できないという方はおそらくいないはずです。
その上でお願いしたいことがあります。
もし私が判断を誤ることがあれば、遠慮なく諫めてください。
特に経営理念、当社が大切にするものの順番と違う判断をしたときは、くれぐれもお願いします。
■260年と長く続いた江戸幕府をつくった
徳川家康が学んだ帝王学の書に中国古典の
『貞観政要(じょうがんせいよう)』があります。
古くから帝王学の教科書として活用されてきた
『貞観政要』は、王が国を治める要諦について
特に部下からの、諫言がどんどん出てくるための
王や上司の態度や、制度について詳細に述べられ
ています。
■また、現代ではグーグル社が、
プロジェクト・アリストテレスという活動を
通じて
・離職率が低く
・収益性の高い仕事をし
・社員幸福度の高い組織
の特徴として『心理的安全性』という概念を
提唱しています。
『心理的安全性』とは
「チームの誰もが、非難される不安を感じることなく、
自分の考えや気持ちを率直に発言できる状態」
と定義されています。
1300年前に書かれた『貞観政要』との共通点です。
■筆者は事業継承の成否基準を
<バトンを引き継いでから30年以上経て、
バトンを受けた状態より、より良い状態で
次世代に渡すこと>と定義しています。
そのような観点で、この会社の事業継承は、
創業者から次の経営者への節目を着実に通過し、
次の段階を進行中と言えるでしょう。
以上、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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人は賢明になればなれるほど、
ますます腰を低くして他人から学ぼうとする
ロジャー・ベーコン
(哲学者 1214~1294年)
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