「立志」
「立志」
■昨日は、地方都市での仕事を終え、帰宅後、
すぐに着替え、20時~22時、空手の稽古に
行ってきました。
怠惰を選び、傲慢になりやすい年齢と立場。
一日の仕事を終えて、虚飾をすてざるを得ない
道場に行くことは憂鬱ですが、初心に立ち
返る良い機会になっています。
■先週、関係している会社の新入社員研修を
行いました。
この研修は、4月から毎月3時間実施している
もので、人として、社会人としての基礎的な
考え方、人生や仕事の根本原理を客観的、
理性的に認識し、習慣として実践することで
参加者の人生の土台を作ろうとするものです。
■毎年、多くの新入社員と接する中で、家庭
はじめ社会全体から、人として大切な事柄を
あまり教えられていない人たちが多いことを
実感しているので
「会社が最後の教育機関である」が持論です。
新入社員は、Z世代といわれる1996-2012年に
生まれた人たちですが、皆さん優秀な資質を
持っていると感じています。
■しかし、残念なことに、彼らが「働く」と聞いて
思い浮かぶ言葉は、「大変・しんどい・つらい」で
「働く意義や目的は、お金を稼ぐこと」が圧倒的
多数であることが、各種調査結果からも確認でき
ます。
そうです、人としてせっかくの可能性にフタをし、
コモディティ化した人になり、要領よく生きる人
が主流になっているのです。
■実施している新卒研修では、
「仕事とは、本来、しんどいことだが、
お金では買えない大切なものを得られる場」
「仕事とは、やればやるほど、人に喜ばれること」
お客さまからの感謝、先輩からの称賛、
仲間との切磋琢磨、発意~挑戦~達成・・・。
を経験を通じて体感していきます。
■今回、参加者が探究したのは「志」。
その中で将来の「志」を「経営者」あるいは
「社長」に決めた人たちがいました。
その人たちは、発表の瞬間から、声にハリが
出て、表情がイキイキと輝き出しました。
生きること、働くことにスイッチが入った瞬間
です。
本当に強い会社は、指示命令を実行する従順な
社員さんがいる会社ではありません。
多くの社員さんが、経営者、あるいは自営業者の
意識をもち、自発的に考動している組織です。
■『論語』 にある孔子の有名な言葉、
「吾十有五にして学に志す。
三十にして立つ。四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。六十にして耳順う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず」
…私は十五歳の時学問に志し、
三十歳で独り立ちをし、やっていけるようになった。
四十歳で事の道理に通じて迷わなくなり、
五十歳にして天命の理を知った。
六十歳では何を聞いてもその是非が判別でき、
七十歳になった今は思いのまま振舞っても道を
はずさなくなった」とあります。
■「立志」とは、本来、若い時にあるものです。
しかし、生涯「立志」なく過ごす人の多い
ことは、とてももったいないことだと思います。
人も会社も「志」をもつことで、大きな力を得、
たくさんの試練を乗り越えることで、その「志」
がより確かなものになるのではないでしょうか。
今一度、身の回りの「志」を確かめてみたいもの
です。
今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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志を立ててもって万事の源となす。
(何事も志がなければならない。
志を立てることが全ての源となる。)
(吉田松蔭 思想家 1830~1859年)
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