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決算書と管理会計

決算書と管理会計


■経営において、決算書は非常に重要な道具です。
しかし、決算書から、自社の経営課題を正しく
つかみ、対処している会社はそう多くありません。


多数の経営者は、年に1回、税理士さんや公認
会計士さんが作った決算書を見て、会社の状態を
理解していると思われています。


それ以外の方でも、2ヶ月前の決算書を月1回
ながめて終わり、という方がほとんどです。


この一般的な決算書は、税務署へ提出するため、
すなわち、納税のための決算書です。




■成長し続けている会社の経営者は、この税務署
向けの決算書の他に、経営者のための決算書とし
て、管理会計の手法を駆使して独自の決算書を
月次もしくは週次・日次で作り、活用しています。


そうです。
決算書を会社経営の道具として、自分の使い
やすいように加工し、活用することで、成長し
続けるための一助としているのです。


管理会計による決算書は、経営者が的確な
経営判断をするための道具です。


その内容は、経営実態と違っていなければ、
会計のルールは会社ごとに作る会社独自の
ものでOKです。




■納税のための決算書は、全社をひとかたまりと
して表現しますが、管理会計の決算書では、
会社の状況に応じて、部門別、拠点別、商品別、
得意先別など、自社に適したあらゆる切り口で、
あらわすことが出来ます。


単位は、会社の状況や使う人の立場によって、
千円単位、百万円単位を使い、それぞれの科目
には、構成比(%)を記します。


表記する期間は、当期実績、当期累計実績に
加え、3年~5年前の実績を併記することで、
重要な数値の趨勢(すうせい ※物事が移り
進んでゆく様子。また、そのいきおい。)
を確認することができます。




■たとえば、営業利益率が5年前に比べ、
5%減っている会社の場合。


5年前と比較して、人件費率が5%増えていると、
利益率低下の主たる要因は、人件費率の上昇で
あると分析できます。


全社で上昇していても、多拠点展開している会社
では、多くの場合、部門別、拠点別にバラツキが
確認できます。


人件費率は、(労働時間×時給)÷売上高に
分解されますから、それらの推移を確認します。


そうすると、部門別の人員構成推移の把握も
必要になってくるでしょう。


さらに、生産性の傾向はどうなのかも気に
なるところです。


生産性は、一人あたり売上高、一人あたり粗利益額
労働時間1時間あたり売上高(人時売上高)など
その会社の業種業態に見合ったモノサシを適宜
選択します。




■このように、経営者(管理者)向けに加工した
決算書を丁寧に読み込むことで、最適な打ち手を
考え、実行することで、業績改善につなげていく
のです。


この手法は、以前の小欄でご紹介した
「観察・分析・判断」の考え方です。
https://www.hibikorearata.co.jp//blog/everyday/entry-301.html




■小欄をお読みの皆さまは、上記のマネジメント
サイクルを行うことが、日常化していると思いま
すので、更によくするために、自社の経営で重要
と思われる指標=KPI(ケーピーアイ)を設定し、
観測~対処されることをおすすめします。


KPI(Key Performance Indicator)とは
「重要業績評価指標」です。

目標を達成するプロセスでの達成度合いを
計測したり監視したりするために置く定量的な
指標です。


これは難しい指標を採用する必要はなく、
むしろ単純なものが有効です。

たとえば、残業時間、値引き率、営業パーソン
の移動時間、特定機械の稼働時間・・・などです。




■会社も人と同じで、業績不振(病気)には原因が
あり、その真因をつかみ、適切な手を打つと、
健全な状態になるのが自然の摂理です。


以上、会社をより健全化する一助になれば幸いです。


今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。

日々是新 春木清隆

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問題を適切に分析すれば、
問題は半分解決したようなものだ。

チャールズ・ケタリング
(科学者・社会哲学家 1876~1958年)

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