武道と経営道
武道と経営道
■今週の日曜日(7/31)、空手の夏季合宿に
参加してきました。
合宿といっても、通常は2泊3日ですが
時節柄、日帰りです。
当日は、午前10時から、昼休みをはさんで、
午後4時まで、密度の濃い稽古でした。
内容は、移動稽古から始まり、約束組手を行い
最期はフルコンタクト組手を数人と行ない
翌日は、身体中が心地よい筋肉痛でした。
■この空手の組織は、単独で世界大会を
行なうほど大きな組織です。
稽古の中で、世界大会に参加する現役選手で、
これから道場の運営を任される人が話された
ことを共有します。
■世界大会などのトーナメント戦で
勝ち上がってくる人には、2つの特徴がある。
それは
1,『勝ちたい』という意欲の強い人
2,日々(考えながら)精進している人
言われてみれば、その通りですが、
<意欲の強さ>、<考えながら>という言葉に
改めて、自身の惰性に流されている日常生活を
省みるいい機会となりました。
■さらに同じ人の話から
『世界大会に向けた強化合宿がある。
Sクラス、Aクラス、Bクラスと実力よって
グループ分けされるが、それぞれのクラスの
人と話していて、上位のクラスの人ほど、謙虚で、
日ごろから、よく考えていることが分かる』
『試合では、普段のその人のすべてが出る』
と話されていました。
一般企業ですと、若手~中堅といわれる年齢の方
でしたが、人生の達人がもつ<確かな軸>を
持っている人でした。
■武道の「武」とは
武器である「戈」(ほこ)を「止」(とめる)
という合字です。
したがって、武道精神とは、本質的には、
平和主義で、むやみに戦いを好むものでない。
と理解しています。
しかし、命に代えても守りたいものが侵されるような
事態になった場合。
やむにやまれず覚悟を決めなければならない場合。
躊躇することなく、勇気をもって果断に
前へ進めるよう、日々修錬するものが
武道精神であると認識しています。
現在、商業主義の中で取り上げられている
格闘技とは一線を画するものです。
すなわち、『技(やりかた)』を競い合う、のと
『道(ありかた)』を極めるのかとの違いです。
■経営者は、大切なもの
(命に代えても守りたいもの)を守るために
あらゆる艱難辛苦を真正面から受け止め、
呻吟する中で
「この問題は自分(自社)に何を気づかせようとしているのか」
「自分(自社)は如何に生きるべきか」
「自分(自社)の天命・使命とは何か」
「自分(自社)の能力や持ち味をどのように活かして、
世のため人のために生きて行くのか」
「自分(自社)の社会との関わり合いはどうするか」
といったことを日々考え続けて行かなければなりません。
■長きにわたり繁栄している会社は、流行りの
経営手法や経営術といった小手先の技だけで
得られるものではありません。
長きにわたり繁栄している会社は、
経営者自身が、真の経営道を歩み続けた結果であり
自身の人間力を錬成した証左でもあります。
■それらの経営者の性格は、十人十色ですが
特性には共通点が見られます。
1. 素直
2. 謙虚
3. 常に人を愛し、人を敬する心を持つ
4. 信を貫く
5. 行動を重んじる
6. 人の評価を(過剰に)意識しない
7. 不断の努力
■世の中は、いかに楽をして、うまくやるか、
儲けるか。いわゆるHow To情報が溢れています。
そのような情報ばかり読んで、浅薄な知識や
浅知恵を簡単に身に付けようとする傾向の人が、
多いように思います。
■これからの時代、会社を更に発展させて
いくために、経営幹部は、従来の経済合理性の
追求に加え、経営道を歩む覚悟が必要です。
これは、最小の努力で最大の効果を得る、
といった類とは正反対の自己修養の道です。
自己修養はコツなど有り得るはずもなく、
努力を惜しまず、コツコツと、死ぬまで
続けなければならないものです。
事上磨錬(じじょうまれん)の道です。
良い心構えの経営幹部のいる会社には
良い人が集まって来ます。
経営幹部が、自分自身の人間力を高めて行くことで、
会社の器も大きくなるのではないかと考えています。
経営道。
今、この場にあることを感謝し、
人としての成長の道を歩み続けていきたいものです。
日々是新 春木清隆
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事上磨錬(じじょうまれん)
毎日の生活や業務の中で自分を磨くこと。
そうあって初めて真の成果が得られる。
王陽明(中国の思想家 1472~1529年)
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