事業継承
事業継承
■一昨日、岩手県で仕事を終え、新幹線に乗って仕事をしようとしたら、ホテルの研修会場の壇上にパソコンを置き忘れたことに気がつき、ビックリ。そのような訳で毎週水曜日に発信している拙文が1日遅れました。
■先週、関係している会社の後継者を紹介されました。この会社は、創業70年を超えるビルメンテナンス業の会社です。後継者は社長のご子息で、一流大学を卒業後、一流企業に勤めていた方です。
■創業者からバトンを受けた現在の社長は、その人柄と先見性、チャレンジ精神で、会社をコツコツと地道につくり上げてきました。それを象徴するのがこの会社の貸借対照表です。下表をみると現在の社長が就任後、この30年間で、極めて強靭な財務体質に変貌していることがわかります。
それは、この30年間で、利益剰余金が596.7%となり、25.3%だった自己資本比率が78.8%になっていることに象徴されています。
ご存知のように、損益計算書は毎年ゼロから始まりますが、財務体質をしめす貸借対照表は、経営者の思想と、長年にわたる行為が堆積した結果です。
この会社は、時流に乗った業種ではなく、むしろ、3Kといわれる業種です。また高学歴の人財が数多く在籍しているわけでもありません。このように人も、お金も、決して潤沢でない環境でバトンを引き継ぎ、ここまで会社を継続発展させてきたたことは、極めて稀で、非常に立派なことだといえます。
■事業継承に関して、少なからぬ社長が、いわゆる資本政策の一環である株式の譲渡方法について考えますが、本質的な事業継承を考えた場合、資本政策は事業継承のごく一部であり、実務面での継承が大切で、以下が急所8項目です。
1、 現状把握と継承計画策定
人・モノ・金・情報など、会社の全体を俯瞰~把握
2、 後継者の選定と育成
社内外から最適人物を選び、育成
3、 ビジネスモデル・新製品・新規事業開発
付加価値の高い製品・サービスを開発~提供
4、 組織経営体制の確立
営業・管理など社内組織全般の見直し
5、 新経営チームの確保・育成
社内外より選抜~育成
6、 財務強化対策
実質無借金経営を目指す
対金融機関との良好な関係作り
7、 リスクマネジメント
定量的リスクマネジメントへの取組みで
強固な組織を作る
8、 資本政策立案と実施
自社株価算出と株価コントロールを行い
状況に応じて最適株価となるよう計画的に調整
上記、何れの項目も、一朝一夕で形成できるものではありません。最低でも5年、できれば10年程度の長期的視点で計画を立て取り組むことが肝要です。
したがって、事業継承の開始は、後継者が20代または、30代からが理想的です。
■現在、関係先のバトンタッチされた経営者が重点的に取り組んでいる対象は以下の8項目です。
1、 新たな販路開拓
2、 経営理念の再構築と浸透ならびに組織風土の醸成
3、 経営人財育成
4、 新商品・新サービスの開発
5、 新事業への進出
6、 IT化促進
7、 幹部の新陳代謝
8、 M&Aによる事業拡大
こう書き出してみると事業継承は会社の真の実力を高める絶好の機会とも捉えられます。
以上、今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。
株式会社 日々是新
春木清隆
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しゃがむな、
ため息をつくな
飯田 亮
(セコムセコム創業者 1933年~)
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