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独断について考える

独断について考える


■先週の拙文をお送りした翌日(2/24)から戦争が始まっており、世界中がその動静を注視しています。筆者も、11年前の大震災のときのようなザワザワした気持ちが続いていますが、一刻も早い収束を祈るばかりです。



■今回、一人のリーダーの考え方一つが、計り知れない影響を与えることを目の当たりにしています。経営にかかわる一人として、改めてリーダーのあり方を考えました。

40年以上の間、多くの会社とリーダーをみてきて、リーダーの心一つの置きどころで、会社の盛衰が左右される現場に立ち会ってきました。

衰退していく組織は、例外なく、「リーダーをいさめる人がいない」、「リーダーが聞きたくないことを言う人を遠ざけ、イエスマンばかりを周囲におく」組織でした。




■265年続いた徳川幕府を開いた家康は大変な勉強家でした。彼が、長期安定政権の礎を築く座右の書として学んだ本が、今から1300年以上前に書かれた『貞観政要』です。


『貞観政要』が書かれたのは唐の時代の中国でした。唐の二代皇帝太宗は、「貞観の治」と称される300年にわたる長期政権の基盤を築きました。『貞観政要』は、太宗と彼を補佐した重臣たちの間で交わされた政治問答が主な内容です。


『貞観政要』で説かれている中から、気になる箇所をいくつかご紹介します。

・諫言の重要性を知る
 (諫言・・・① 目上の人の欠点や過失を指摘して忠告すること。諫(いさ)めること。また、その言葉。② いましめること。きびしく注意すること。出所:コトバンク)

・謙虚に思考し、正しく行動する

・信と誠がある人が人を動かす

・伝家の宝刀は抜かないほうが怖い

・有終の美は自分にかかっている

古典として長く読み継がれているだけあって、現在の企業経営にも通底していることを改めて確認しました。



■独裁という言葉がありますが、企業経営において、良いリーダーは「独裁はするが、独断はしない」と言われています。これは、経営判断をする際、判断する前には社内のみならず、外部の人も含め、衆知を集めます。そして、いろいろな意見を集約した上で、最後は独りで決裁することです。

独裁という言葉から、否定的な印象をうけますが、リーダーは、最後の決断を自分一人の責任で行うことから、独りで裁決するという意味での独裁です。

一方、「独断すれども独裁できず」という言葉があります。これは、自分だけの狭い考えや判断能力に基づいて決定するが、徹底して実行させる力がない。このために方向違いの仕事をダラダラと続けてしまいロスを大きくすることです。



■さいごに自分が独断になっていないかの自己チェックリストを記します。
ご自身の振り返りにお使いいただければ幸いです。
○・✕・△でお答えください。



1,何があっても自分が招いた選択の結果だと思える

2,気持ちに余裕があると思う

3,自分をもっと成長させたい

4,この半年以内、怒りや、強い否定などの感情を、他者に言葉で伝えたことはない

5,諫言してくれる人が社内外に3人以上いる

6,情報は自ら収集すべく、平均週1回以上現場に足を運んでいる

7,半年以内に、いわれなき誹謗中傷をうけていない

8,時間や期限に遅れがない

9,継続して勉強(読書など)している

10,このチェックリストを最後までやった


以上、今日も皆様にとって
素晴らしい一日になりますように。


日々是新 春木清隆


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慢心は損害を招き
謙虚は利益を受ける

孔子 (思想家 紀元前551年 ~ 紀元前479年)
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