戦略について考える
戦略について考える
■先週、かかわっている会社の幹部の皆さんと、経営戦略について考える機会がありました。情報がはん濫する時代の中で、経営戦略にかんしても、おびただしい情報が流通しています。
毎年多くの経営用語や考え方が発表され、それらの言葉が流行語のような感覚でとらえられている昨今。経営学の勉強と、経営の実践を40年以上繰り返してきていますが、大切なことは、いつまでも変化しない原理原則を認識し、まもること。環境変化に即応して、自らが変化することだと実感しています。
■経営の現場では、『孫氏の兵法』と『ランチェスターの法則』、プラスいくつかのフレームワークの組み合わせの活用で、所与の課題は十分に対処できます。今回は、『孫氏の兵法』について情報共有します。
『孫氏の兵法』は、紀元前500年ごろ中国の軍事思想家であった孫武が作った兵法書で、多くの武将や経営者が活用してきた戦略の古典です。それは、開戦前の検討からはじまる13編からなっています。
■『孫氏の兵法』では、経営における組織開発論につうじる考え方も書かれています。それは、どんな組織(軍隊)が強いのかということについて、「上下欲を同じくするものは勝つ」とあります。これを現代の経営に翻訳すると「社長から幹部、現場のスタッフに至るまで、目的(何のために働いているのか)が共有されている会社は強い」といえます。
このように『孫氏の兵法』では、顧客・部下・競争相手の心の側面からの分析~判断が書かれていますが、自社の状況に照らしながら自分ごととして読み進め、どのように具現化していくのかを考え抜き、実践していくことが大事であると考えます。
■さらに『孫氏の兵法』の特徴は、<好戦的ではない>考え方があげられます。すなわち、「戦わずして勝つ」ということを非常に大事にしているのです。
武力の「武」は「戈(ほこ)」と「止」を組み合わせてできた漢字です。『孫子の兵法』にある「百戦百勝は、善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」という言葉に象徴されるように、そもそも戦争に訴えるべきか否かを含め、開戦前になすべきことについて述べられています。
これを企業経営に翻訳すると、常日頃から社員教育はじめ商品とサービスの磨き上げを怠らず、他社との差別化をはかり、オンリーワンの立ち位置を堅持し、健全な財務体質を築き上げる。ともいえます。
■会社経営から話は飛びますが、緊迫する国際情勢の現在、キーパンソンが上述したことをよく考えて再度認識し、一刻も早く、自身の心の矛を止めてほしいと思う次第です。
今日も皆さまにとって
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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勝つことばかり知りて、
負けることを知らざれば
その害その身に至る。
徳川家康(武将 1543〜1616年)
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