ブログ
日常

異業種に学ぶ

異業種に学ぶ

■自社周辺の情報収集や研究は、日常的に行われ易いですが、他業種の事例から新たな発見や気づきを得られることも少なくありません。


先月(2022年1月)日経新聞に学研ホールディングス(以下 学研)が、2030年9月期までに国内で運営する介護施設数を現在の2倍に当たる1000拠点に増やす。という記事がありました。




■不勉強ながら、学研というと「中1コース」などの購読でお世話になっていたので、出版・教育などの事業が主体の会社と認識していました。



出版業は、インターネットの浸透と活字離れが進み、売上は下がり続け、下表のように衰退業種の様相を呈しています。


(出所:株式会社ニッテン)




■一方、学研は調べてビックリ。
学研 セグメント別売上高推移


■2012年、売上28億円で、赤字だった医療福祉サービス事業の2021年の売上は、23倍超の657億7千9百万円。営業利益は30億4千2百万円で、会社利益の約半分を稼ぎ出しています。ここから、学研の成長は、同社にとって新規事業である医療福祉サービス事業に挑戦していたからであることが分かります。




■医療福祉サービス事業関連で、同社が行った主なイベントは下記のとおりです。

・2004年07月    介護事業の「(株)ココファン(現(株)学研ココファンホールディングス)」を設立

・2012年09月    福祉・介護施設運営の「(株)ユーミーケア」をM&Aにより子会社化

・2015年10月    「(株)学研ココファンホールディングス」と「(株)ヒューマンライフ・マネジメント」との共同出資により訪問看護事業の「(株)学研ココファン・ナーシング」を設立

・2018年09月    介護サービス事業の「メディカル・ケア・サービス(株)」をM&Aにより子会社化



■さらに現在~将来の事業施策として

・主力の教育事業は少子化で大きな市場の成長が見込めない。介護施設の拡大で21年9月期に657億円だった介護を含む医療・福祉事業の売上高を30年9月期に2000億円程度に引き上げる。

・2030年9月期までに国内で運営する介護施設数を現在の2倍に当たる1000拠点に増やす。

・施設増に合わせて、学研の教育機関「学研アカデミー」で、年間800人ペースで介護士を養成する。

・土地のオーナーが建てた物件を学研が20~25年借り上げるサブリース方式を採用して初期費用を抑える。少子化が進むなか、介護施設は高稼働が見込め、不動産投資の需要がある。

・グループ全体で介護記録システムを導入した。手書きの書類を減らして記録時間を短くすることで残業時間の短縮につなげている。一部施設では人工知能(AI)を搭載したロボットを試験導入している。




■上記のごとく、学研ではこれからも安定継続した事業拡大のために

1,低投資による拠点の拡大
2,自前の人財育成
3,技術(AI)を活用した生産性向上

と定石通りの打ち手を間断なく実施することがわかります。




■「雨が降ったら傘をさす」
「魚のいるところに、釣り糸を垂れる」

共に当たり前のことが、当たり前にできているかを再確認する言葉ですが、現在と未来の自社のありさまを、改めて客観的に考えてみたいものです。


今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。

日々是新 春木清隆

――――――――――――――――――――――

常識は、いいものである。
これには従わなければいけない。
けれども常識は、十年ごとに飛躍する。

太宰治(小説家 1909~1948年)

――――――――――――――――――――――


Copyright(c) hibikorearata All rights reserved.