繁栄し続けるためのルール作り
繁栄し続けるためのルール作り
■日本経済の凋落を、マスコミなどの報道から
よく見聞きします。
下表は、企業経営でいうと総利益額(粗利益額)に相当するGDP(Gross Domestic Product 国内総生産)の推移を示したものです。
アメリカは、GAFAなどの牽引で成長を続け首位を保っています。
一方、わが日本は、1990年以降、ほぼ横ばいで2010年には、成長著しい中国に抜かれています。
■伸び悩むGDPの因がどこにあるのか
気になって、「国の科学研究力」を計るときに
使われるTop10%補正論文数を調べてみました。
Top10%補正論文数とは、他の論文から引用
される回数の多い論文の数です。
1998年、日本のTop10%補正論文数は、
4,352本で世界第4位でした。
20年後の2018年、日本のTop10%補正論文数は、3,736本で絶対数は減り、世界6位に後退しています。
■これらを企業経営に置きかえて考えると
GDPが粗利益で、論文数が未来投資になります。
ここから、粗利益の継続的成長には未来投資が
極めて重要であるといえます。
■かつて中小企業だった会社が着実な未来投資を
続け、大企業になった事例をご紹介します。
企業名は、熱さまシートなどで有名な小林製薬。
1886年創業のこの会社は、かつては薬や化粧品などの小売を営む個人商店でした。
現在、年商1500億円超、営業利益率も10%を超えています。
■堅調な経営を続ける当社の特徴は
「小さな池の大きな魚を釣る」ビジネスモデルです。
その心は、みんなが釣りに来る大きな池は、競争が激しい。誰も見つけていない新しい池(市場)を見つけ誰よりも早く、小さくてもいいので一人で釣る。
さらに、その池を掘り続けて、大きな魚が住めるようにする。すなわち、ニッチ市場の創造です。
■かつて、子供が熱を出した時に使われていたのは解熱剤と氷のう、ぬれタオルでした。
わが子の熱を下げようと、タオルを絞って取り替え、夜も寝ずに看病していたお母さんたちに大歓迎された製品が、熱さまシートです。
1994年に売り出されたこの製品は、ゼロだった市場を、50億円市場にまで創造〜発展させています。熱さまシートの市場シェアはダントツの50%超。当然のことながら、利益率が高く同社の稼ぎ頭となっています。
■同様の手法で、同社が市場トップシェアの市場は、洗眼薬、傷あと改善薬、女性保険薬、芳香消臭剤、水洗トイレ芳香洗浄剤などがあります。
このように「小さな池の大きな魚」戦略の成功が、この会社の高収益の源になっています。
■戦略を支え続けている大きな要因の一つが、
<繁栄し続けるためのルール作り>
実践していることです。
同社では、一年以内の売上高に対する
その年に発表した新製品の売上高の割合を、
単年度新製品寄与率と呼び、その目標を
10%としています。
単年度新製品寄与率のここ数年の実績は、
8%前後ですが、毎年40〜60品目が新製品と
してリリースされています。
製品開発において、提案される製品数は
市場で陽の目を見る数百倍はあり、
同社のスピード感や俊敏さが感じ取れます。
■<繁栄し続けるためのルール作り>
未来投資の定量目標の参考として
主な指標5つを列記します。
1,教育時間
2,新商品売上構成比
3,新規顧客売上構成比
4,研究開発費
5,提案数
年が改まり、新規事業年度を目前にして
中長期視点での成長施策を考える一助に
なれば幸いです。
今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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今から20年後、君はやったことよりも、
やらなかったことに大きく失望するだろう
マーク・トウェイン
(1835~1910年 アメリカの著述家 )
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