中小企業の大倒産時代に備えて
中小企業の大倒産時代に備えて
■先週、かかわっている会社の社長からの依頼で、
初めてお会いする会社の社長とスポットの
経営相談を行いました。
地方都市にある第3次産業の2代目経営者。
内容をお聴きすると、10年ほど前は50%を
超える自己資本比率だったが、コロナ禍で
借入金が増え、手元の自己資本比率は5%台。
現在の月次損益も赤字状態で、今後の打ち手に
ついてのご相談でした。
いくつか質問させていただくと、先代(創業者)
の時代にビジネスモデルの変更や人財育成を
積極的に行わず、ジリ貧状態で2代目社長に
バトンタッチ。その直後、コロナ禍に突入
というストーリーです。
短期の手当と単年度具体策、中期の方向性を
共通認識し、相談を終えました。
■この事例は、小欄で何度かお伝えしている
今回のコロナ禍は、あらゆるものの時間を
早送りしている。
すなわち、企業の栄枯盛衰の速度が早まった
事例の一つといえます。
■気になって、調べてみると、中小企業の借入状況は
昨年の6月がピークで、2021年6月から減少に転じて
いるものの、2021年7月の債務残高は42.9兆円で、
2020年4月の22.2兆円の倍以上となっています。
■大企業は一部の業種を除き業績回復を
している企業が確認されますが、
私たち中小企業のまわりでは、まだまだ
悪戦苦闘中といったところが多いようです。
ご存知のように、中小企業の損益状況は
この30年間、赤字企業が70%前後で推移しています。
さらに中小企業経営者の年齢は、2018年時点で
69歳になっており、2倍以上に膨れ上がった
借金を返済する可能性は、極めて低いと
言わざるを得ません。
■そこで、日ごろから安定堅実の経営を続けている
中小企業が、留意すべきことを3点共有します。
留意点の第1は債権管理です。
債権管理とは、売掛金を管理することです。
まず、現在の売掛金を取引先別で残高の高い順に
並べます。
次に、1社ごとに回収可能性をABCなどで
ランク付けします。その上で、売掛金残高が多く
回収リスクが高い取引先から、債権の極小化を
はかります。
■留意すべき2点目は、与信管理の徹底です。
「与信」とは、取引先に対して、取引開始から
代金を回収するまで「信用を与える」ことを
いいます。
与信管理については、「与信管理規定」を
インターネットで検索すると事例や考え方の
情報がありますので、自社に合ったルールを
策定し、しっかりと運用していくことです。
■留意点の3点目は、納入業者さん、外注業者さん
など、現在取引している業者さんの動向に気を
配ることです。
仕入先や取引先で、その会社が倒産すると
自社が機能不全をおこす可能性のある会社を
ピックアップし、その可能性に応じて対策を
検討し、備えておくことです。
激動が続く状況の中で、
確かな備えについて
考えさせられるご相談でした。
今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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勝つこと以上に負けないことが大事
坂井三郎
(海軍軍人・零戦エースパイロット1916~2000年)
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