学会参加と「ビジョンの力」
学会参加と「ビジョンの力」
■9月11日、12日と人を大切にする経営学会
第8回全国大会にオンラインで参加しました。
日本でいちばん大切にしたい会社大賞の
受賞企業のプレゼンテーションも行われ
示唆に富む話が多く、学びの2日間でした。
今回のテーマは、
「ウィズコロナ時代の人を大切にする経営」
~SDGsとダイバーシティの観点を踏まえて~で
12の分科会の研究発表などから気づいた点を共有します。
■気づきの1点目は「基本の大切さ」です。
コロナ禍で、多くの企業が、厳しい状況に
陥っている現在。表層的な対処療法も必要ですが、
今一度、基本に立ち返り、「経営の本質」を
見直す機会ではないか、と感じた次第です。
「基本の大切さ」、「経営の本質」については、
以前の小欄で「経営道」のタイトルで述べましたので、
ご参考になれば幸いです。
「経営道」
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/everyday/entry-254.html
■気付きの2点目は、「ビジョンの力」です。
ビジョンとは将来のなりたい姿。
今回の受賞企業の発表を聴いていて
各社、その内容は異なるでしょうが、
「将来こうなりたい」と明確に描いていた
ことを感じられたことでした。
■何事も描かないことには始まりません。
経営の領域では、松下幸之助が38歳の時、
1932年に、250年かけて楽土の建設を目指す
ビジョンを掲げたことが、その後の発展の
原動力となっています。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、
その概要をご紹介します。
250 年間を10 節に分け、各節の25 年間を
さらに3 期に分ける。
第1 期の10 年間は建設時代、
次の第2 期の10 年間は、建設を続けながら
活動する活動時代、
そして最後の5 年間は建設と活動を続けながら
世間に貢献する貢献時代とするのである。
「以上の第 1 節の 25 年間は今日出席している
われわれの活動する活躍期間である。
そして第 2 節以後は、われわれの次代の人たちが、同じ方針をもってこれを繰り返し、10 回 250 年で世の中を物資に満ち満ちた、いわゆる富み栄えた楽土にしようとするものである。
使命達成の第一段階は、この 250 年をもって
ひとまず終了する。
しかし、第二段階である次の 250 年に至っても、
この姿は変わらず、さらに高い理想に向かって
邁進するであろうと思う。
そして、その時の理想に合致する方途は、その時の人たちによって、われわれの伝統を生かして、さらに立案されるであろう」
(出所:Panasonic HP)
また、34期連続増収増益中のニトリは、1972年に「第1期30年計画」掲げ、さらに現在は、「2032年、3,000店舗・売上高3兆円」をビジョンとした「第2期30年計画」が進行中です。
■閑話休題。12日の夜、TVを観ていましたら、今回のオリンピック柔道で、兄妹揃って金メダルを獲得した阿部兄妹のドキュメンタリー番組を放映していました。
その中で、妹の阿部詩選手の自室に貼り出していた紙が下の写真です。
書いてある内容を記します。
2021 達成目標
・東京オリンピック優勝
・怪我をしない、寝技のパターン増
・強くなる!!
自分に負けるな!
*思い通りにならないからといって、
心をいためては、ならない
思い通りになったからといって
有頂天になっても、いけない
*平安無事が続いてもそれを頼りにしては、
ならないし、最初に困難にぶつかっても、
くじけてはならない。
■金メダルを獲得する人は、
金メダルを獲ろうと思った人だけ。
逆に言うと、金メダルを獲ろうと思わなければ、
金メダルは獲れない。
阿部詩選手は、本気で金メダルを獲ろうと
ビジョンを描き、自分の部屋に掲げたこの紙を、
毎日何度となく、みていたはずです。
■このように見てきますと、「ビジョンの力」は
私たちの想像する以上のパワーを秘めているようです。
「ビジョンの力」を活用するポイントとして
・ 世のため人のためという視点が入っている
・ 強く思い続け、一人でも多くの協力者を得る
・ 焦らず、一歩一歩、努力する がありますが
一方、過去、ビジョンにこだわりすぎて、それに執着し近視眼的な視野狭窄思考に陥り、ビジョンが遠のいた事例も身近でみてきました。
よって、ビジョンが実現するかどうかは天の配剤というある種の達観も必要な気もします。
今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと
稲盛和夫(1932年~ 経営者)
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