激動を機会として
■休日にアマゾンプライムビデオで映画を楽しみました。
少し前まで、レンタルビデオ店を往復していたことを
思い出し、世の中が便利に進化していることを感じました。
気になって業界大手であるNetflix社を調べてみました。
同社は、1960年生まれのリード・ヘイスティングス氏が、
地元のビデオレンタル店で延滞料金を請求されたことを
キッカケに「延滞料金なしでいつまでも映画を手元に
置いておける郵便DVDレンタル」というビジネスモデルで
1997年に創業。
以降、99年に月額15ドルの定額プラン導入。
03年 定額借り放題DVDレンタルで特許取得
(ここまでアナログ)
07年 ビデオ・オン・デマンド 動画配信サービス開始
(ここからデジタル)
12年 オリジナル作品制作開始
19年 自社オリジナルドラマを原作としたゲーム制作開始
同社は、当時、どの町にもあったアナログの
「DVDレンタル事業」からデジタル技術を活用して
「動画配信サービス」にシフト。
現在、視聴データを活用して自社で作品制作まで
行っています。
■さらに気になって、本欄で以前ご紹介した
百貨店業界について調べてみました。
百貨店業界2社の2021年3月期の決算をみると
三越伊勢丹ホールディングスの209億円の
営業赤字に対し、マルイグループは153億円の
営業黒字を計上しています。
三越伊勢丹ホールディングス決算 2021年3月期
(出所:同社HP)
マルイグループ決算 2021年3月期
(出所:同社HP)
■今年1月21日の本欄で、百貨店業界は業態として
存続の危機であると述べました。
https://www.hibikorearata.co.jp/blog/everyday/entry-230.html
■その百貨店業界で、マルイグループの黒字決算から、
変化に対応した、確かな経営の舵取りの軌跡(意思)が
見て取れます。
(出所:同社HPから筆者作成)
消化仕入とは、店頭で商品が売れた時点で、
百貨店側がその商品を仕入れたことと見なし、
その売上高の一定割合を仕入代金として
取引先に支払う従来からある百貨店業界の
商慣習です。
2014年68%を占めていたその割合は、2021年27%と
41ポイント圧縮しています。対して12%だった
定借(場所貸し)は、70%と58ポイント
進展しています。
定借は、一定金額が確実に入金されるので
経営として安定度は高く、この数年の転換は
経営の意思によるものに他なりません。
■さらに私たちの参考になるのは、先ほどご紹介した
従来の百貨店の収益源であった消化仕入売上がある
小売部門の売上収益と、ショッピングクレジットなどの
フィンテック部門の売上収益の構成です。
(出所:同社HPから筆者作成)
「フィンテック(Fintech)」とは、金融を意味する
「ファイナンス(Finance)」と、技術を意味する
「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。
■丸井グループの経営資料から、
同社が、ここ数年で、従来の百貨店という
業態から、自社の強みを活かして、
社会に必要とされる新たなビジネスモデルを
確立しつつある。ことが確認できます。
■私は、コロナ禍によって、産業や商売、
企業の消滅~誕生する速度は劇的に速くなっており、
それと同時に成長する機会も大いに増えている。
成長のチャンスは私たちの足元にゴロゴロ転がっている。
という見解を持っています。
■多くの中小企業のヒントとなる考え方をご紹介します。
ここ1~2年、RPA(アールピーエー・Robotic Process Automation)を
利活用されている会社が増えています。
RPAとは、人間がコンピューター上で行っている
定型作業をロボットで自動化するものです。
RPAの導入によって、定型的な事務作業の生産性向上が
実現します。よって、投資回収期間が事前に判るため、
RPAへの投資は比較的堅実な投資事案と言えます。
■ここから、自社に導入したRPAのノウハウを他社に
販売することにより新たな収益源の開発につなげます。
特に同業の中小企業をその販売対象にした場合、
業務フローや業界ならではの困りごとを知悉している
会社からの提案はありがたいものです。
■「習うより、慣れろ」
デジタルツールを活用した新たなサービスを
提供している会社の一部をご紹介します。
(出所:筆者作成)
■Netflix社も丸井グループも、
かつては町の一商店。
私たちもこの激動を機会として
挑戦~変化~成長し続けたいものです。
今日も皆さまにとって
素晴らしい一日になりますように。
日々是新 春木清隆
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行動を起こし、今をつかめ。
人は貝になるために創られたのではない。
セオドア・ルーズベルト
(米国の第26代大統領 / 1858~1919)
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