“真”経営ピラミッド
“真”経営ピラミッド
■以前、顧問先から依頼され、ご相談させて頂いた
地方都市で販売業を営む従業員100名程度の
会社の事例です。
ご相談の内容は、高いお金を払って人事制度を
見直し、作り直したが、以前と全く変わらない。
何とかならないか。でした。
経営者はじめ幹部の方々からお話を伺いました。
社員の成長や定着率が芳しくなく悩んでいたところ
人事制度を作ることにより、課題解決できるとの
営業があり、他社の成功事例などを紹介され
契約に至った。とのことでした。
さらに色々とお聴きすると、この会社の離職率は
数年来25%を超えていました。
離職率25%ということは、4年で社員全員が
入れ替わる程の人の定着率ですから大きな課題です。
この会社には、私の力不足でお役立ちの機会を
作れませんでしたが、このような課題の解決を、
人事制度を作ることだけで解決した事例を知りません。
■なぜ解決できないかを拙著でご紹介している
“真”経営ピラミッドの考え方を使って
ご説明します。
経営者が、日常採っている打ち手として
対処療法としては正解の場合もあります。
しかし、解決すべき現象が何度も繰り返し
起きている、ということも少なくありません。
これは、本質的な課題解決を行っていない
ことを教えてくれていると解釈しています。
また、一般的な経営学でも、その対象は、
制度や戦略など、表層的な事象に終始しがちです。
短期的に観て、それらの打ち手で一定の成果を
得ることもあります。
しかし、長きにわたり繁栄する「いい会社」を
作るためには、もう少し本質的なアプローチが必要です。
■私の実務経験と研究から得られた結論は、
現象としての数字や状態を変化させるために
制度や戦略を期待通りに機能させるには、
健全な組織風土作りが必要不可欠。
ということです。
組織風土と制度ならびに戦略と関係は、
土地(組織風土)の上に立つ建物(制度・戦略)の
関係にあります。
言い換えれば、どれほど良い制度や戦略を取り入れ
ても、土台となる組織風土が健全でなければ、
制度や戦略は期待通りの結果をもたらしません。
例えば、売上を上げようと高い投資をして、
営業パーソンの勤怠管理制度や評価制度を作っても、
もしくは営業研修に参加させても、彼らが会社や上司に
不平不満をもっていたら、それらは殆ど機能しません。
一般的な会社や経営学においても同様で、
起きている現象そのものへの働きかけ、
あるいは制度や戦略を重要視しています。
(筆者作成)
組織風土を形成する下の層には、
会社の存在意義や目的を著す「経営理念」と、
目指す姿を示す「ビジョン」があります。
更に最下層には「経営者」があります。
すなわち会社経営にとって、「経営者」わけても
「経営者の心」が一番重要である。ということです。
■"真"経営ピラミッドの考え方は、
私の実務経験と研究から得られた
経営に対する「岩盤信条」です。
この概念は、水が高いところから低いところへ
流れるが如く、「法則」と言っても過言では
ないと確信しています。
■経営に限らず、簡単に手に入れたものは
失いやすいように感じています。
また、長きにわたり成長し続けている会社に
共通している点は、"真"経営ピラミッドの
考え方をコツコツと地道に続けていることです。
組織風土とは、端的に表現すると、社員さん一人
ひとりの心の置きどころ。
今一度、自社の社員さんの心の置所を
曇りのない目で見つめてみたいものです。
今日も皆さまにとって素晴らしい一日に
なりますように。
日々是新 春木清隆
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成長を欲するものは
まず根を確かにおろさなくてはならぬ。
上にのびることをのみ欲するな。
まず下に食い入ることを努めよ。
汝の根に注意を集めよ。
和辻哲郎
(哲学者 1889~1960年)
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