経営道
経営道
■日本には古来、剣道・柔道・茶道・華道など
武道や文化の領域で、“道”という字がついている
ものがあります。
一般的に忍術と言いますが、忍道という言葉を
聞いたことはありません。
柔道に対しては、柔術という言葉があります。
個人的には、勝つための技術を習得するのが柔術。
一方、柔道は、技術の修得の過程で、精神修養をおこない人間力を高めることが目的となっていると解釈しています。剣道や茶道なども、目的は同じではないでしょうか。
■経営者は、長きにわたり会社を発展させるためにあらゆる艱難辛苦を真正面から受け止め、呻吟する中で
「この問題は自分(自社)に何を気づかせようとしているのか」
「自分(自社)は如何に生きるべきか」
「自分(自社)の天命・使命とは何か」
「自分(自社)の能力や持ち味をどのように活かして、世のため人のために生きて行くのか」
「自分(自社)の社会との関わり合いはどうするか」
といったことを日々考え続けて行かなければなりません。
■現在、定期的に関わりを持たせていただいている会社のほとんどは、十年以上の期間、堅調な業績を出し続けています。
この成果は、経営術といった小手先の技だけで
得られるものではありません。
経営者自身が、真の経営道を歩み続けた結果であり、自身の人間力を錬成した証左でもあります。
■それらの経営者の性格は、十人十色ですが
特性には共通点が見られます。
1. 素直
2. 謙虚
3. 常に人を愛し、人を敬する心を持つ
4. 信を貫く
5. 行動を重んじる
6. 人の評価を(過剰に)意識しない
7. 不断の努力
■世の中は、いかに楽をして、うまくやるか、
儲けるか。いわゆるHow To情報が溢れています。
そのような情報ばかり読んで、浅薄な知識や浅知恵を簡単に身に付けようとする傾向の人が、多いように思います。
■これからの時代、会社を更に発展させて
いくために、経営幹部は、従来の経済合理性の
追求に加え、経営道を歩む覚悟が必要です。
これは、最小の努力で最大の効果を得る、
といった類とは正反対の自己修養の道です。
自己修養はコツなど有り得るはずもなく、
努力を惜しまず、コツコツと、死ぬまで
続けなければならないものです。
事上磨錬(じじょうまれん)の道です。
良い心構えの経営幹部のいる会社には
良い人が集まって来ます。
経営幹部が、自分自身の人間力を高めて行くことで、会社の器も大きくなるのではないかと考えています。
経営道。
今、この場にあることを感謝し、
人としての成長の道を歩み続けていきたいものです。
日々是新 春木清隆
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心の外に道理はなく、心の外に物はない。
全ては心の中にある。
心が明らかになれば自ずと道も明らかになる。
王陽明(中国の思想家 1472~1529年)
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