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取締役(幹部)の仕事

新卒で入社した一部上場企業が、実質上の倒産である
会社更生法適用を申請した因は、環境に適応でき
なかったなどの表層的要因が挙げられますが、
本質的要因の一つは取締役(幹部)の機能不全でした。


在籍した会社で、その機能を発揮しなかった
取締役(幹部)のタイプは以下の4つでした。



1,努力(勉強)不足型
人柄や、それまで残した成果から取締役になったが
取締役としての人格・識見・能力を磨き上げる努力を
怠っている。よって、本人の極めて狭い価値観の
中での考え方を盲信し、全体最適からかけ離れた
判断に終始する


2,変化することへの怠慢型
新しいことへの不安や、新しいことを始める努力を
無意識のうちに避け、変化することを選ばない。
あるいは、やるべきことは自覚できているが、保守的な
思考が強く、自発的に変化に挑戦しない


3,反対者(抵抗勢力)への尻込み型
変化すると不利益をこうむる反対者(抵抗勢力)が
存在し、それらとの摩擦を避ける。もしくは、自身の
利害から、本人が反対者(抵抗勢力)の場合は、
あらゆる理由をつけて変化から逃れる


4,エセ官僚型
責任やリスクを小賢しく避け、仕事をしている
フリをして余計な仕事は一切しない。
上には笑顔で下には鬼の言動。
経営者が騙されやすいのがこのタイプ


一般社員から取締役(幹部)まで、昇進とともに、
期待し要求される機能は変わりますが、
前の職位のままで変化していない取締役(幹部)が
少なくないことは誠に残念なことです。


取締役(幹部)に求められる人格・識見・能力は、
能力<識見<人格の順に重要度が増しますが
本欄では、識見について情報共有します。


識見とは、<物事を正しく見分ける力>ですが、
取締役(幹部)に求められる機能に翻訳すると、全社課題の選定です。


全社課題の選定をさらに因数分解すると
1,課題の設定
2,課題の本質発見・分析
3,解決策の立案です。


いわゆる戦略的なモノの考え方が必要になります。
戦略的な思考に関する本や情報は世間にあふれていますが
いくら情報を取り入れも、練習しなければ使いものになりません。


泳げない人が、水泳の本を10㎏読んでも、水の中で
練習しなければ、10mも泳げないのと同じことです。


実務において、戦略的な思考の練習~強化につながり
全社課題の選定をする際に効く言葉を以下に列挙します。



「何のために?」、「誰のために?」、
「どんな視点で?」、「いつまでに?」、
「それは本当か?」、「それで全部か?」、
「モレはないか?」、「ダブリはないか?」、
「それでどうなる?」、「長期的に観てどうか?」、
「他の立場から見たらどうか?」、
「課題の本質はなんだ?」・・・


これらを自ら、あるいは取締役(幹部)に
問いかけ続けることです。
問いかけることで考えます。


この<考える>ことをどれだけ粘り強く行えるか。
多くの中小企業は、実践力はありますから
<考える>ことを習慣化することで戦略的な思考が
醸成され、より健全な会社への礎となります。


<考える>。ぜひ習慣化したいものです。


では今日も皆さまにとって、
素晴らしい一日になりますように。

日々是新 春木清隆

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考えることは最も過酷な仕事だ。
だからそれをやろうとする人がこんなにも少ないのだ
ヘンリー・フォード(1863~1947年 アメリカの企業家)
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