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健全な体質づくり2

■前回の本文で、財務に対する私の基本姿勢は、無借金経営であること。

無借金経営を実現するためには、経営者の発意が第一歩。

無借金経営は財務体質に関することなので、
実現まで時間がかかる。

無借金経営を実現する指標の一つとして
ROA(総資本利益率)を活用する。
などをお伝えしました。

■これをご覧になっている皆さまには、釈迦に説法ですが本文では
ROA(総資本利益率)活用の前に、資金繰りについての単純な考え方を共有します。

■前職の会社は入社当初、債務超過であったことをお話しましたが債務超過から
脱するまでに6年の期間を要しました。

■私は、あえて一兵卒で入社させてもらい日夜、飛び込み営業に専心していましたが
資金繰りが厳しく、業者さんへの支払い遅延などが続くため経理周りをしていた社長夫人、
その補助をしていた女性に毎日通帳の残高を教えてもらうことにしました。

簡単なエクセルファイルを作り、
当時有していた口座6口分の残高を
入力すると折れ線グラフが作図できるようにしました。

■毎日その情報を一瞥していると1ヶ月も経たないうちに現金残高が激減し始めました。
その月は無事にやり過ごせましたが、ヤバイ状態です。

激減した時期は25日~月末。
月末~月初に売掛金が入金され、
前月末支払い分を翌月初に支払う、正に自転車操業。

調べてみると、25日~月末に支払いが集中しています。
私が入社したのは創業15年目でした。
創業以来、戦略的視点なく経営を続けてき結果でした。
例えば、昔の温泉旅館のように無秩序に増改築を繰り返し、
迷路のような動線で使い勝手が悪く、お客様本位になっていない設備と同じです。


■ここから、買掛金の高い順に業者さんと交渉です。
取引額の一番高い業者さんは印刷業者さんでしたので

支払期日の変更とともに、
納品規格・納品手順や仕様などを協議させてもらい

先方さんも利を獲得した内容で、
自社の粗利益率の向上も果たせました。

このように、支払期日の調整をすることで、
資金の集中流出がなくなりました。

さらに、それまでは売上が増えれば増えるほど資金が必要でしたが
売上が増えれば、手元資金も増える状態になりました。


■これは回転差資金、あるいは
最近ではキャッシュ・コンバージョン・サイクル
(Cash Conversion Cycle、以下「CCC」といいます)と言われています。

CCCは以下の式で算出されます。
CCC=棚卸資産回転日数+売上債権回転日数-仕入債務回転日数

本文では簡単にCCCを導き出すために以下の簡易計算式を用います。
CCC=在庫期間+売掛期間-買掛期間

■例えば、商品を購入して30日後に販売し、
そこから50日後に代金を回収。
仕入れた商品代金は50日後に支払う場合。
30日(CCC)=30日(在庫期間)+50日(売掛期間)-50日(買掛期間)で
CCCは30日です。

当然ですがCCCは長いほど資金繰りが厳しくなります。


■ちなみに、年商30兆円超のアマゾンのCCCはマイナス34日です。
内訳は、売上債権回転日数27日+棚卸資産回転日数52日-支払債務回転日数113日です。

■この要因の一つに、マーケットプレイスがあります。
(業者でもアマゾンに出品できる仕組み)
そのカラクリは、このマーケットプレイスでの売上は、一括してアマゾン受け取ります。

この売上から、手数料を数%差し引いて、数週間後に出品者に支払いをしています。

この売上が出品者に支払われるまでの期間は、アマゾンにとって無利息で運用可能な資金になります。

こうなると、マーケットプレイスの売上が増せば増すほどジャリジャリと
魔法のように現金が生み出されてきます。


■経営=心+科学。
この大変化の時期を機会と捉え、
まずは社長が発意すること
そしてわが社のあらゆる事柄をゼロから見直す好機としたいものです。

日々是新 春木清隆

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「つらいなぁ」というのは、大きな運をつかむ予兆だと思う。
そこを逃げずに踏ん張ることが大事なんだ。
萩本欽一 (1941年~ コメディアン)

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